建物の改修・修繕・耐震等に関するQ&A

建物の改修・修繕・耐震等に関するQ&Aです。
このほかにもご不明の点等ございましたら、当社にお気軽にお問合せください。

改修・リニューアルに関する質問

修繕と改修に違いはあるのですか?

修繕とは、部材や設備の劣化部の修理や取替えを行い、劣化した建物又はその部分の性能・機能を実用上支障のない状態まで回復させる行為をいいます。
一般的には、建物の建設当初の水準にまで回復させることを目標とします。

一方、改修とは、修繕による性能・機能の回復に加えて、建物の性能を建設当初の水準以上にグレードアップする行為をいい、建物のバリアフリー化、エントランスの改良、エレベータの新設などがこれに該当します。

エレベータを設置する方法にはどんなものがありますか?

5階建以下の低層・中層のマンションは、階段を使って歩いて上下することが可能であるとして、エレベータが設置されないケースがよくありましたが、最近では、超高齢社会に対応するためにも、そうしたマンションにエレベータを設置する必要性が高まっています。
エレベータの新設には、住棟内の既存の共用部分におさまるように設置する方法のほか、次のように既存建物の外側に設置する方法などがあります。どの方法を選択するかによって、必要な手続きや費用は異なってきます。
(1)廊下接続方式
片廊下型住棟の共用廊下に接してエレベータを新築するもので、比較的容易に設置できます。
(2)階段室踊場接続方式
階段室型住棟の各階中間の踊場に着床する方式で、各階の住戸玄関まで半階分の段差が残ります。完全なバリアフリーにはなりませんが、比較的容易に設置でき、階段室型住棟では最も一般的な方式です。
(3)階段室各階着床方式
階段室型住棟の階段室の各階床に着床する方式で、各階の住戸玄関まで完全バリアフリー化が可能です。ただし、折返し階段を直階段に変更するなど、それまでの階段室を大きく変更しなければならないため、コストがかかります。なお、各階段室を連結する外廊下を新設することにより、エレベータを集約するという方式もあります。
(4) 南側ベランダ接続方式
南側のベランダに着床する方式で、各階のベランダからの出入りになりますが、完全バリアフリー化が可能です。ただし、エレベータの設置により南側からの日照に影響が出ることやプライバシーの確保に問題があることなどから、居住者の方々の合意を得るのが難しい方式ともいえます。

大規模修繕に関する質問

大規模修繕は、いつごろ行えばよいですか?

マンションは、それぞれの部位や部材によって修繕周期が異なりますが、大規模修繕は、その周期が重なる時期にまとめて効率的に行うこととなります。一般的には、建築から10~15年経過した段階で、外壁、屋根等の外回りを中心に1回目の大規模修繕を実施します。その後も概ね10~15年周期で大規模修繕を実施していくことになります。
また、大規模修繕に合わせて建物や設備の性能を向上させる改修工事を行ったり、必要に応じて給排水等の更新工事なども行います。

修繕委員会は設置しなければいけないのですか?

修繕委員会は必ず設置しなければならないというものではありません。しかしながら、大規模修繕は検討から実際の工事が完了するまでに、かなりの時間がかかります。管理組合の理事会で検討を進めるという方法もありますが、理事には任期があり、途中で交替してしまう可能性があります。また、理事会では大規模修繕以外にも検討しなければならない事案が多くあります。継続的な検討体制を築くためにも、理事の負担を軽減するという観点からも、修繕委員会を設置したほうがよいと考えます。

設計監理方式や責任施工方式とは何ですか?

設計監理方式とは、建物調査診断、設計、工事監理等をコンサルタントに、施工を施工業者に分けて発注する方法です。パートナーはコンサルタントとなり、次のような長所・短所があります。
【長所】
・第三者の専門家であるコンサルタントから中立で公正なアドバイスを得ることができます。
・調査、設計、施工業者選定、工事監理まで一貫してコンサルタントが技術的に管理組合をサポートするため、安心で納得できる大規模修繕を行うことができます。
・コンサルタントに工事の仕様書や数量表を含めた設計図書を作成してもらい、施工業者選定において、複数の業者を競わせることにより、競争原理を働かせることができます。
【短所】
・工事費用のほかに、設計監理費用やコンサルタント費用が発生します。

一方、責任施工方式とは、設計施工方式ともいい、建物調査診断から実際の工事までを同じ施工業者に行わせる方法です。パートナーは施工業者となり、次のような長所・短所があります。
【長所】
・工事費以外に必要な費用が発生しないため、費用面で有利になる場合があります。
【短所】
・第三者によるチェックが行われないため、信頼できる施工業者を選ぶことができないと、工事の品質面で不安が残る可能性があります。
・管理組合の中に詳しい人がいない場合、適切な施工業者を選定したり、工事費が適正であるかを判断したりすることは非常に困難です。

窓建コンサルタントでは、マンションの快適な居住環境の確保、資産価値の維持・向上を図るために必要となる大規模修繕を、最も適切にかつ適正な費用で実現する方法として、「設計監理方式」を採用することをおすすめしております。

大規模修繕は、いつごろから準備したらよいですか?また、実際の工事には、どのくらいの期間がかかるものですか?

大規模修繕工事を実施する1年前からコンサルタントとの打合せを行い、準備を進めておくことをおすすめします。
また、実際の工事には、建物の規模や修繕の内容にもよりますが、通常3か月から6か月程度かかります。

大規模修繕のコンサルティング費用はどのくらいかかりますか?

大規模修繕のコンサルティングには、建物調査診断から設計・積算、施工業者の選定、工事監理まで幅広くあります。建物の規模、修繕の内容、コンサルティングの範囲等によって、コンサルティングの費用は異なってきます。

窓建コンサルタントでは、大規模修繕についてご相談いただき、お見積もりを作成させていただく場合には、実際に建物を拝見した上で、最も適したコンサルティングをご提案いたします。

大規模修繕工事の前に、なぜ建物調査診断が必要なのですか?

大規模修繕は、原則として長期修繕計画に基づいて実施されますが、実際に工事を行う時期が長期修繕計画に示された時期と合致していなかったり、長期修繕計画に示された修繕周期が到来しても、直ちに工事をする必要のない部位や部材があることもあります。
こうしたことから、実際の工事を行う上では、建物各部の傷み具合に対応した有効な修繕を実施するために、調査や診断を行い、それに基づいた設計により工事部位や工事内容を確定していく必要があります。

大規模修繕の工事期間中は、居住者の暮らしにどのような影響がありますか?

大規模修繕は、建物の全体又は複数の部位をまとめて行う大規模な計画修繕です。したがって、通常建物の周囲に足場を組み、建物全体をメッシュシートで覆うことになります。室内が多少暗くなったり、バルコニー側の壁面塗装や床面の防水工事の際には、バルコニーの利用やプライバシーにも影響が出たりすることも考えられます。また、振動・騒音の発生も考えられます。

窓建コンサルタントでは、大規模修繕を進めるに当たり、こうした工事期間中の居住者の方々の日常生活や周辺環境に対する影響を最小限に食い止めることと、施工業者も含めて円滑なコミュニケーションを図ることを心がけています。

長期修繕計画は、何年間を目途に作成するものですか?また、見直しは必要ですか?

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、長期修繕計画の計画期間は、新築の場合30年以上、既存マンションの場合25年以上とされています。

また、長期修繕計画は、次のような不確定な要素が含まれていますので、5年程度ごとに調査・診断を行い、その結果に基づいて見直すことが必要であるとされています。
・建物及び設備の劣化の状況
・社会的環境及び生活様式の変化
・新たな材料、工法等の開発及びそれによる修繕周期、単価等の変動
・修繕積立金の運用益、借入金の金利、物価、消費税率等の変動

現在の修繕積立金の額の設定が適切かどうかを見てもらえますか?

修繕積立金は、適切な長期修繕計画を作成し、それに基づいて額の設定をすることが重要です。

窓建コンサルタントでは、長期修繕計画に係る調査・診断、長期修繕計画の見直しのお手伝いを行っており、その中で修繕積立金の額の設定に係る検討もいたします。

耐震診断・耐震改修に関する質問

耐震診断とは、どのような建物について行うものですか?

建物を設計する際に、地震に対して安全に設計することを「耐震設計」といい、「耐震設計」を行うもととなる基準を「耐震設計基準」といいます。
現在、使われている「耐震設計基準」は1981年(昭和56年)に定められたもので、「新耐震設計基準」とも呼ばれ、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災においても、この基準で設計された建物は被害が少なかったことが報告されています。 
このため、「新耐震設計基準」で設計されていない1981年以前に建設された建物については、地震時の安全性を検証するために「耐震診断」を実施することが推奨されています。
「耐震診断」とは、現地調査と設計図書等に基づき、建物の耐震性能を評価し、「新耐震設計基準」で要求されている耐震性能と比較し、地震時の安全性を確保するために耐震補強が必要かどうかを判定するものです。

耐震診断の種類にはどのようなものがありますか?

耐震診断の方法には、第1次診断法、第2次診断法、第3次診断法があり、それらの概要は、以下のとおりです。
(1) 第1次診断法
主として耐力壁で構成される壁式構造や比較的耐震壁が多く配置されている柱・梁からなるラーメン構造などの強度型の建物の耐震性能を簡易的に評価するための診断手法です。建物の耐震性能の基本となる構造部材の強度は、柱と壁の断面積とコンクリート強度から略算的に求めることから、計算は最も簡単です。
(2) 第2次診断法
柱・壁などの鉛直部材の破壊が水平部材の梁より先行する、いわゆる柱崩壊型建物の耐震性能を評価するための診断手法です。梁・スラブは破壊しないものとして計算には考慮しませんが、柱・壁の強度には鉄筋の影響も考慮し、構造部材の強度や形状から変形性能(靱性能)を評価することで、第1次診断法よりも計算精度の改善を行っています。計算の作業量は、新規建物の構造計算に匹敵するものです。
(3) 第3次診断法
梁の破壊が柱・壁に先行する梁崩壊型建物の耐震性能を評価するための診断手法です。この診断手法では、柱・壁の強度に加え、梁の強度も考慮して耐震性能を評価する必要があることから、計算の作業量は最も多くなる診断手法です。
耐震診断の実施に先立って、既存建物の設計図書・構造計算書の有無、被災履歴の有無の確認、現地調査を実施して、建物の規模、構造種別、構造形式等を踏まえて、いずれの診断手法を用いて耐震診断を実施するかを決定することになります。

耐震診断の現地調査では、どのようなことを行いますか?また、その結果を耐震診断にどのように反映するのですか?

耐震診断では、診断対象建物の耐震性能を表す構造耐震指標(Is)を次式によって求め、構造耐震判定指標(Iso)と比較して、建物の耐震安全性を評価します。

Is=Eo・SD・T  
ここで、Eo:保有性能基本指標、SD:形状指標、T:経年指標
      
耐震診断により求められたIsがIsoを上回る場合には、建物の耐震性能が満たされていると判定し、耐震補強を行う必要はありませんが、下回る場合にはIsoを上回るように耐震補強を行うことになります。

現地調査では、以下に示す調査等を行い、建物の構造耐震指標の算定に反映させることになります。
(1) 構造部材(柱、梁、耐力壁等)の断面調査
既存の設計図書と不整合がないかどうかを確認して、その結果を構造部材の耐力算定に反映(Eo)
(2) 外観調査
外観目視調査等により構造部材の補修履歴、劣化状況等を確認して経年指標に反映(T)
(3)コンクリート強度等の調査
建物からコンクリートコアを採取し、圧縮強度試験を行い、その値で構造部材の耐力算定に反映(Eo)
(4) 外部設備機器等の調査
建物の耐震性能評価には関係しませんが、高置水槽等の転倒・落下などの危険性の有無を確認
(5) 非構造部材の調査
建物の耐震性能評価には関係しませんが、コンクリートブロック等の転倒などの危険性の有無を確認

コンクリート強度等の調査とは、どのようなことを行うのですか?また、その結果を耐震診断にどのように反映するのですか?

コンクリート系の建物の耐震診断においては、使用しているコンクリート強度や劣化状況を踏まえて、構造部材の強度を算出して耐震性能を評価することになるため、耐震診断を実施する前にコンクリート強度等の調査が必要になります。なお、既存の設計図書や構造計算書にコンクリートの設計基準強度の記載があっても、現状のコンクリート強度を確認するための調査を行います。
コンクリート強度の調査は、既存建物からコンクリートコアを採取して、その圧縮強度試験結果から耐震診断に用いる強度を決定します。コンクリートコアの採取は、各階ごと、コンクリートの施工時期ごとに各3本以上採取します。コンクリートコアの形状は、原則として、径10cm、高さ20cm(最低10cm以上)として、コンクリート強度試験のほかに、このコアから中性化深さの試験を行い、建物の経年劣化の程度を判定して、建物の耐震性能を示す構造耐震指標(Is)の算定時の経年指標(T)に反映することになります。

耐震診断には、どのくらいの期間・費用がかかりますか?

耐震診断の実施期間とその費用については、建物の設計図書・構造計算書の有無、被災履歴、現地調査の内容とその結果、建物の規模(階数、面積、形状等)、構造種別(SRC造、RC造、S造等)、構造形式(壁式構造、ラーメン構造等)、耐震診断の方法、診断結果の評定の要否等によって大きく異なります。
なお、耐震診断の実施期間については、概ね3か月~6か月程度の期間を要します。

耐震補強とは、どのような工事を行うのですか?また、どのくらいの費用がかかりますか?

耐震診断の結果、建物の耐震性能が不足する場合には、所要の耐震性能を満たすように耐震補強を行います。主な耐震補強の工法として、次のようなものがあります。
(1) 耐震工法
既存の柱・梁・耐力壁に炭素繊維や鉄板の巻き付け、耐震壁の増設や新設、鉄骨ブレースや建物外周部への耐震フレームの新設などにより、建物の耐力、剛性、ねばり強さ等を向上させる工法
(2) 制震工法
既存建物の構面にダンパーなどの地震エネルギーの吸収に作用する制震装置を設置することで、建物の耐力を向上させ、かつ建物に生じる変形を制御し地震時の揺れを低減する工法
(3) 免震工法
既存建物の基礎下部又は中間階に免震装置を設置することで、地盤から建物に伝達される地震力を大幅に低減する工法

なお、それぞれの建物に適した補強計画を検討し、耐震補強を実施することになりますので、耐震補強に要する費用は、どういった工法を採用するかによって、大きく異なります。

工事監理に関する質問

工事監理とは何ですか?また、工事監理は必要なのでしょうか?

工事監理とは、建築主の立場に立って、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかどうかを確認することです。工事が設計図書のとおりに実施されていないときは、工事施工者(施工業者)に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告することになります。工事監理が適切に行われれば、建築基準法に違反するような建築工事や欠陥工事の発生を未然に防ぐことができます。また、工事監理者とは、工事監理をする者のことで、一定の規模以上の建築物を建築する場合には、資格を有する建築士でなければ、工事監理をすることはできません。

建築基準法では、建築主が一定の規模以上の建築物を建築する場合において、工事監理者を定めなければならないとしています。工事監理者の選定が法律で定められていない場合においても、建築物の安全性を確保するために、信頼できる工事監理者を選任するほうが安心です。

工事監理と工事管理の違いは何ですか?

工事監理は工事監理者が行うもので、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかどうかを確認することです。
一方、工事管理は工事施工者(施工業者)が行うもので、工事の目的を達成するために工事施工者自らが立てた計画を実行していくことです。
誤解を防ぐために、前者を「さらかん」、後者を「たけかん」又は「くだかん」と呼称して区別することがあります。

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